地域包括ケア病棟を最大限活かすベッドコントロールのポイント

 2022年度(令和4年度)診療報酬改定では、地域包括ケア病棟・病床の施設基準について大きな見直しが行われました。地域包括ケア病棟(病床)を持つ病院は救急機能が必須となり、①急性期治療後の受け入れ(Post-acute)、②在宅からの受け入れ(Sub-acute)、③在宅復帰支援、の3つの役割を全て果たすことが求められています。

 また、自院急性期病棟からの転棟患者(Post-acute)を60%未満に抑えなければならない要件が、200床以上の病院に拡大されました。他の施設基準もクリアしたうえで稼働をできる限り高く維持していくためには、ベッドコントロールの精度とスピードが鍵を握ります。今回は主にPost-acute患者のベッドコントロールについて、地域包括ケア病棟を最大限活かすためのポイントを紹介します。

1.転棟候補患者を出来る限り早く把握する

 貴院のベッドコントロール担当者は、その患者が入院して何日目から転棟について検討を始めていますか?入退院支援加算1では入院後3日以内に退院困難者を抽出し、入院後7日以内に退院支援計画の着手と多職種カンファを実施することが求められています。しかし、疾患によっては7日より前に転棟タイミングが来る場合もあるため、このスピード感では遅いと言えます。遅くとも入院翌日には検討を始めましょう。Post-acuteのベッドコントロールは急性期病棟に患者が入院した瞬間から始まっています。

2.主治医の同意をスムーズに得る

 経営面や看護必要度の視点では転棟すべきなのに主治医の許可が得られず、ベッドコントロール担当者が転棟患者を考え直さなければならないといったトラブルがしばしば発生します。主治医の立場では、以下の要因が背景にあることが多いです。

1.まだ急性期治療が必要な状態で、医学的に転棟は早いと判断している

2.病棟が変わると管理の手間が増える、地域包括ケア病棟のケアの質が低い(と感じている)

3.自分の治療方針に意見されるのが嫌

 「1」は妥当な理由ですが、「2」と「3」については医師の地域包括ケア病棟に対する理解不足やスタッフ配置の問題が根底にあるため、病院として対策(例:パスを作成し運用を徹底する、地域包括ケア病棟の看護師の能力アップ、非協力的な医師との個人面談など)に取り組むことで改善は可能です。何れにしても、常日頃からベッドコントロール担当者と主治医が密にコミュニケーションを取ることが非常に重要です。

3.多職種との情報共有にICTを活用

 ベッドコントロールには主治医だけでなく、転棟先の病棟師長、リハビリ、MSW、事務部門など、多職種が関わります。そのため、関係者間の情報共有の精度がベッドコントロールの精度に直結します。これまでは週に何回か関係者が集まり、対面で情報共有を行っていた病院が多いと思います。現在も同様の運用をしている場合は、zoomなどオンライン会議ツールを活用したカンファに変更を検討してみてください。参加者が各自でカルテにアクセスし情報把握をしながら参加できるため、質が上がります。また、これまで印刷していた紙資料が不要になる、移動時間がなくなる、といったメリットもあります。

DXでベッドコントロール業務を変革する

 現状のベッドコントロール業務は、担当者が医療面・経営面・患者の要望など様々な情報を統合して行っており、担当者の経験や能力に依存せざるを得ません。そのため担当者の業務負担が大きく、異動や退職などで担当者が変わると精度が急に落ちてしまうリスクがあります。また、経営的には急性期病棟の約70%の患者が常に転棟対象になるため(下図)、毎回最適な患者を転棟させて全体最適を達成することはほぼ不可能であり、機会損失が発生することも課題です。

 このような課題に対して、弊社ではベッドコントロール業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいます。開発した「Smart-BedControl」は経営的な最適解がリアルタイムで分かるツールです。属人化しているベッドコントロールをデジタル化することで、担当者の業務負担軽減・意思決定のスピードアップ・機会損失の減少(増益)を実現することができます。

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