出来高病棟の病床管理における”最適な転棟タイミング”の見極め方

今回は、出来高払いの急性期病棟と包括払いの病棟(主に地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟、療養病棟)を運用するケアミックス病院の病床管理(ベッドコントロール)で非常に重要な、”最適な転棟タイミングの見極め方”を解説します。

出来高病棟は入院単価が毎日変動し、経済的視点での転棟予測が難しい

 近年は国の方針で、急性期病棟に入院後早期から転棟や退院の時期を予想し、退院支援を進めることが求められています。必要な医学管理、退院先、医療・看護必要度、介護保険の申請状況などを考慮して検討していくのが一般的ですが、病棟での判断が難しいのが経済的視点での予測です。

 出来高払いの病棟では、その日に実施した診療行為によって患者の1日単価が変動します。急性期治療の経過とともに医療資源の投入量は落ち着いていきますが、患者によっては高額な心不全治療薬や抗生剤の投与、人工呼吸処置、CT/MRI検査などを継続的に行う必要があります。地ケア病棟や回リハ病棟ではこれらの診療行為の多くが包括払いとなるため、忙しい病棟で「在宅復帰が見込めるが、もう少し医療資源の投入が必要な患者」をいつ転棟させるべきか(もしくは転棟しない方がよいのか)を考えるのは大変です。しかし、経済的な視点も病床管理では大事な要素です。

 ちなみに包括払い方式(DPC/PDPS)の一般病棟であれば、病名で入院期間にごとの日当点が決まるため、経済的視点での適切な転棟タイミングや優先順位を予測するのはそれほど難しくありません。実際に多くの病院では、DPC期間Ⅱ終了日までの残日数や転棟先病棟との日当点の差を計算し転棟タイミングの目安にしています。また、薬剤・処置・検査等の医療資源についても、もともと包括払いであることから一部の項目(例:地ケア病棟であればリハビリテーション、回リハ病棟であれば抗がん剤や関節リウマチの高額薬剤など)に注意していれば、大きな損失を防ぐことができます。

出来高病棟で最適な転棟タイミングを見極めるには

 出来高払いの急性期病棟からの転棟を経済的視点から検討する時は、2段階のプロセスで考えると良いでしょう。

①直近で請求している診療行為のうち、「今後も継続して請求が予想される項目」と「継続的には行われないが、包括になると損失が大きい高額な項目」を把握したうえで、②前者の1日あたり金額が転棟先の1日あたり包括金額(≒入院料)を下回り、かつ後者の診療行為が終了(もしくは頻度が減る)する時が、経済的に最適な転棟タイミングとなります。

しかしこれを病棟師長が手作業で計算するのは非常に大変で、医事課から毎回データ提供してもらい、主治医にも積極的に協力してもらわないと現実的に難しいでしょう。  スマートベッドコントロールでは病床管理の情報と医事情報を結び付け、経済的に最適な転棟タイミングをリアルタイムで把握できます。具体的には、上記プロセス①の「今後も継続して請求が予想される診療行為」と「包括になると損失が大きい高額な診療行為」が自動で可視化され、最適転棟日が提案されるので、②の検討と意思決定をより早く・正確に行うことができます。病床管理をデジタル化し、業務効率化と経営改善を実現業務効率化と経営改善を実現しましょう!

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