病床管理DXで脱・エクセル管理!急性期から地ケア・回リハ病棟への転棟を最適化(社会医療法人石川記念会HITO病院)

社会医療法人石川記念会HITO病院

愛媛県四国中央市上分町788番地1
病床数:257床
病床機能:HCU,SCU,一般急性期,地ケア,回リハ,緩和ケア

取り組み前の病床管理と課題

 社会医療法人石川記念会HITO病院様(以下、HITO病院)は、年間2,200件以上(※2022年)の救急車を受け入れる急性期型ケアミックス病院です。急性期から回復期まで幅広い医療ニーズに対応し、かつ病院全体の病床稼働を高く維持するためには、急性期病棟から地域包括ケア病棟(以下、地ケア病棟)・回復期リハビリテーション病棟(以下、回リハ病棟)への転棟マネジメントが非常に重要になります。

 HITO病院ではこれまで、主にエクセルで当該の病床管理を行っていました。急性期病棟担当のMSWが退院支援情報を記入するエクセルと、医事部門がシステムから出力した経営的な情報を突合して「情報共有ファイル」を作成します。地ケア病棟・回リハ病棟の看護師長やMSWがその情報共有ファイルを確認し、主治医の許可が得られた患者のなかから転棟を決定しています。

 この運用においては、①情報共有ファイルを作成・管理する手間がかかる、②ファイルの更新が2日に1回のため情報の鮮度が落ちる、③転棟プランを検討する際に必要な情報にアクセスするのに時間がかかる、といった非効率な部分があり、結果として早すぎる・あるいは遅すぎる転棟が生じ経済的な機会損失に繋がってしまうこともありました。

病床管理DXの取り組み

そこで、病床管理に必要なデータを自動で集約・可視化し、経営的な視点も含めた転棟プランの検討が効率的にできる仕組みを検討しました。

 具体的には、電子カルテ等の院内システムにある情報を、RPAを活用して自動で出力します。退院支援に関する情報はこれまでのエクセル管理からスマートベッドコントロールに直接入力するように変更することで、データを集約しました。これらのデータをスマートベッドコントロールで処理し、病床管理に必要な情報と経営的に最適な転棟タイミングをリアルタイムで把握できる仕組みを構築しています。

効果

  1. 業務効率化
     情報の集約と整理を情報共有エクセルからスマートベッドコントロールにシフトしたことで、エクセルを作成・管理する手間が無くなりました。また、地ケア病棟・回リハ病棟の看護師長やMSWが転棟プランを検討する時も、PCやタブレットのブラウザでの確認が可能になり、必要な情報にアクセスする時間の短縮に繋がっています。
  2. 転棟タイミングの適正化による増益
     入院患者のその日の収益は、病棟の入院料、疾患名、入院日数、診療行為などで変化します。転棟による収益変化が1週間先まで分かることで、経営的に損をしてしまうタイミングでの転棟が減り、収益改善にも貢献しています(地ケア病棟で年間約363万円の増益効果。売上に換算すると1億円以上!)。

 働き方改革を推進するうえで、デジタルツールへのタスクシフトは欠かせません。また、病床管理は病院経営と医療の質に直結する重要な業務です。弊社は今後も活用するデータ追加・アルゴリズムの精度向上等に取り組み、医療機関の病床管理DXの推進を更に支援していきたいと考えています。