入院時のトリアージ業務を効率化し、年間200万円の増益を目指す

これまでは紙とPHS、そして「現場の感覚」で入院病棟を決定していた

 2022年度診療報酬改定で200床以上の病院も地域包括ケア病棟への直入院対応が必須になったことを受け、A病院では直入院対象となる疾患をリスト化しました。緊急搬送時は主に看護師がそのリストを確認し、病棟にPHSで連絡をとりベッドの空き状況を把握、担当医師と相談して入院病棟を決定する、というフローで運用していました。

 慣れてくると、現場の医師・看護師は患者の状態やその時の院内の状況から、感覚的にどの病棟に入院するのが良いかが分かってきます。疾患リストやフローも改良を重ね、多くのスタッフが特段問題意識を感じてはいませんでした。

年間200万円以上の利益を損失していることが発覚!!

 しかし、運用開始から半年後に経営的な視点で業務を検証したところ、年間200万円以上の利益を逸していることが発覚したのです。黒字病院でも医業利益率は1%程度なので、200万円の利益損失は2億円の売上損失と同じインパクトを持ちます。

 この原因は入院病棟の選択ミスでした。つまり、現場的には急性期病棟と地域包括ケア病棟のどちらでも入院可能な場合において、収益的に低い病棟を選択してしまったケースが多数発生しており、塵も積もって大きな機会損失となっていたのです。

人力での改善は難しい→ツールを活用して課題解決

 この問題を解決するためには、緊急搬送時に最適解を選択する必要がありますが、多忙な医師・看護師が現場でその瞬間に考えることは不可能でした。かと言って、医事課にその都度確認を取るのも現実的ではありません。人力での改善は難しかったことから、「スマートベッドコントロール」で課題解決を図りました。

経営的な改善効果だけでなく、コミュニケーションの負担も半減!

スマートベッドコントロールのトリアージ機能は、リアルタイムで空将状況を可視化し、その時の状況に応じて経営的に最適な入院病棟を提案するツールです。操作は非常にシンプルで、患者の疾患名や状態を入力していくだけ。約30秒で最適な入院病棟が分かるため、業務負担になりません。

患者の疾患名や状態を入力するだけで最適解を提案

 さらに、空きベッドの確認をするためにカルテ確認や病棟に連絡を取る必要がなくなること、具体的な経済的効果が分かることで医師の同意を得やすくなることから、コミュニケーションの時間も大幅に短縮できるようになりました。今あるデータを有効活用することで、これまでの方法では難しかった「新しい病院運営」の実現につながりました。